「舞鶴の里づくり市民の集い」講演集
〜みんなで考えようわがふるさと〜
日時:平成元年5月20日(土)午後1時
場所:常陸太田市市民交流センター 大ホール
F「豊かさと緑の農業を求めて」大内昭(島町)
私の方からは、今までの方と違いまして、タイトルにもありますように、とくに太田市の農業というものを私の立場から見つめてみたいという考えでここに立たせていただいたわけです。
まず常陸太田市の地図を広げて一番最初に飛びこんで来ますのは、市の耕地の約43%を占めている山林です。その次は水田。これが約18%です。3番目には、畑地が約10%という状況です。また農業の今の現状から21世紀を見つめて、3つのことについて提案してみたいと思っております。
まず最初に水田を生かした農業です。当市は古くから田園都市づくりをテーマにしていると思います。しかも当市から生産される米は、茨城では、筑波の米とともに、自他ともに認める、関東地方でも有数なうまい米の生産地です。しかしながら、今、米を取り巻く情勢は皆様ご承知のとおりであると思います。これからの農業を考えるとき、今までは、すべての農産物はつくれば売れたということですが、これからはどのように作物をつくれば売ることができるかを真剣に考えなければならないと思います。すなわち、消費者皆さんのニーズと理解を求めた農業でなければならない。例えば、安全性や健康性をとらえた農業が中心になってくるものと考えております。
以上のような点を踏まえて、米については、私たちとしては、2年前から低農薬による有機米栽培に県内ではじめて取り組んでみました。また、本年は胚芽米生産もはじめまして、消費者との顔の見えるお付き合いを進め、常陸太田のうまい米の里づくりを展開してきているわけです。なお、消費者との交流は今までも深めておりますが、これからの農業は市内の観光と会わせてますます交流の輪を広げて、農業への理解を深めていく必要があると考えております。
水田農業を構造的に見た場合は、今までに南部農協がライスセンター施設の充実を図り、米の品質管理に努めております。しかし、常陸太田市の水田農業というものを将来に向けて考えるときに、カントリー・エレベーターが建設されることが望ましいと思っております。カントリー・エレベーターとは何だと言うことですが、簡単に申しますと、ライス・センターとは違いまして、玄米にしないで籾で貯蔵できる。稲作農家が一年中食べる保育米を籾で貯蔵して、食べるときに籾ずりをして、つきたてのうまい米を食べられるというわけです。すなわち、今ずり米が食べられるということで、常陸太田のうまい米、それにプラス、カントリー・エレベーターで、消費者に受けることは間違いないと確信いたします。
さて、カントリーエレベーターを建設するにしても、投資の水田面積は約1800ヘクタールです。そのうち約500ヘクタールを収容できる規模が必要と考えます。これは籾に換算しますと約3000トンになります。またこれの建設面積は約1ヘクタール。籾を収容するタンクの大きさは直径が約13メートルあります。高さで23メートル。こう言うものが約10本立ちます。そして、この建設費が約8億円ほどかかります。このカントリーエレベーターは県南、、あるいは県西で相当数現在まで建設されたり、あるいは現在申請されております。しかもこのカントリー・エレベーターを水田地帯の中央に建設し、水田農業のシンボルとして、これを核として集落ぐるみの農作業、受・委託事業を展開し、中核農家を育成し、大規模な水田農業を進めてはいかがでしょうか。
これからの集落ぐるみによる農業を進めるためには、若い力が必要です。私が言う若い力とは、年齢に制限がありません。お年よりでもいろいろな考え方、発想を持っていれば若い力であると確信いたします。
そしてお年寄りには、2000年の歴史を持つ日本稲作文化の伝承、あるいは地域の伝統、文化の継承活動を進めていただくとともに、お年よりだからできる農業生産における役割の確保をする必要があると思います。
続いて、2つには、当市の北東部に連なる畑の台地の農業です。この台地は風光明媚なところです。しかしながら、大半が第二種兼業農家で占められ、畑が荒れ始めております。これらを活性化するには、水田農業と同じく、消費者との連携、そして観光的な農業が肝要と考えます。例えば一坪の貸し農園や比較的省力栽培ができるユズ、梅、クルミ、アンズ、ミョウガ、そのほかいろいろあります。しかし、これは産地化することを考えずに栽培適地をまず選択するとともに、労働力から見て、大きい面積の栽培施設に、1作物で3〜5アールから出発し、ひとつの作物でも、早生、中手、、晩生と組み合わせるなどを考えて、昔から栽培されてきた作物の見直しが必要と考えます。そしてこれらを季節的な観光と結びつけたり、消費者への産直として畑を生かしていく。
また、家畜の放牧地や採草地として考えても、行楽シーズンにはバーベキュー大会など、いろいろな催しを開催してはいかがかと思います。春には子どもと一緒に自然に帰っての田植え体験学習、特に5月の大型連休のイベントが太田市にはなかったのではないかと思います。この大型連休をいかに常陸太田市の観光として位置付けるか、今後の大きな課題と思います。また、夏には太田まつりとの組み合わせを考えて、秋には全国的に有名な西山荘をはじめ、観光による梨、ぶどう狩りに合わせての低農薬有機栽培による米や野菜の青空市を設けて、常陸太田市としての観光的農業を目指してはいかがかと思います。
最後に、3つ目ですが、加工施設の建設です。米をはじめとして、梨、ぶどう、牛、豚、しいたけ、ナス、きゅうり、トマト、そのほか昔からこの地方で作られてきたものを無添加を基本に加工し、ふるさと宅急便を利用するなどして、常陸太田市の舞鶴マークを活用しまして、愛称を募り、例えば『太田の落雁漬』とか『真弓千石』とか、『助さん米せんべい』とか、いろいろな発想を大切に、賞品開発に取り組んではいかがでしょうか。今の消費者もこれからの消費者の方々も、特に食べ物に対してはますます安全とか健康とか、自然性などを欲求し、しかも農家との心のふれあいを求めます。このような信頼のもとに常陸太田市の農業がある物と思います。
以上、3つの提案をさせていただきましたが、常陸太田市には大都市に比べて豊かな、自然に恵まれた条件を生かすことのできる農地が広がって降ります。豊かさと緑のある農業を求めて歩むことが私たちの立場であると思います。これらを21世紀に向けての農業をして実践する時、きょうお集まりの皆さん、市民層ぐるみの運動として一人一人が積極的に農業に対する認識を深めていただきことによって、我々農業者としての役割を果たすことができると確信しておるわけです。
まことに簡単ですが、以上で私からの提案を終わりにしておきます。ありがとうございました。