「舞鶴の里づくり市民の集い」講演集

〜みんなで考えようわがふるさと〜

日時:平成元年5月20日()午後1時

場所:常陸太田市市民交流センター 大ホール

 

D「『福祉王国』をつくろう」武藤祥子(春友町)

高齢化者社会に向かって順調に歩んでおります常陸太田市ですが、誰もがすみなれた町で地域の人たちとともに生活できる、安心のあるまち、老人・障害者を大切にする、子どもたちの歓声が聞こえるまち、「福祉王国」づくりはどうあるべきかを、主婦の立場で提言いたします。

「福祉王国」づくりというのは、自分たちの生きている町を自分たちの手で作っていくことであり、住民が主体的にどうやって運営していくかが大切だと思います。「福祉王国」というからには、やはり拠点になるお城がほしいですね。お城は常陸太田市の象徴の鯨ケ丘に、クジラの背中がなんとなく寂しそうだから。そう、専売所の跡地あたりはどうでしょうか。お城の名前は「舞鶴城」にしておきましょうか。舞鶴城は子どもからお年寄りまで楽しみながら参加し、住民が主体となって活用できるお城です。健康、人づくりのフィットネス、プラネタリウム、映画、おしゃべりのできるサロン、シルバー人材発掘の生活塾、託老室、身障者と老人の作業所、福祉の店、ボランティアセンター、城の展望台での天体観測、福祉機器展示室、相談室、医務室、会議室、おもちゃ図書館などがあります。

城の外の地域活動としては独居老人、老夫婦世帯、身障者を温かく見守る地域住民やボランティアによるネットワークづくり、そして安否確認や健康づくりの相談相手をし、緊急連絡カードの作成により緊急時対応ができるようにする。ふるさとづくりとして老人会と子ども会が手をつないで行う交流会があります。いろいろな経験を子どもたちに伝承していく行事で、凧上げやお手玉の遊び方、大助人形やしめなわづくり、竹とんぼ、炭焼きなどを通し、地域の子どもの顔を知ることにより、自然と挨拶をしあい、非行防止になります。

「福祉王国」の概略だけを話しましたので、具体的な事業について説明します。初めにフィットネス。これは市民が何時でも気軽に基礎体力づくりに利用できる施設です。そして「福祉王国」のユニークな市民憲法第2条に保健プレゼントがあります。市民が50歳になったら全員健康チェック、健康講和、フィットネス券10枚セットをプレゼントされ、3ケ月で終了し、同窓会を持ち、情報を交換し合い、横のつながりを広め、市民の連帯感を高めるものです。早期発見・早期治療を行い、自分の健康に自信を持って生活することによって豊かな心を持つ市民一人一人個祖が「福祉王国」の基盤です。

フィットネスの第2の目的は、脳卒中や後遺症の麻痺を持つ老人や障害者の機能回復訓練にも使うことです。病院に入院中は専門家による厳しい機能回復訓練がありますが、3〜4ケ月後に退院し、自宅に戻ったとたん、あとは自分との闘いの毎日です。それというのも、医療施設から退院後、後遺症について受けることのできる公的サービスがないのが現状だからです。そこで身近な場でリハビリをしながら、患者さん同士の共通の悩みを話し合い、情報交換をし、ハイキングなど交流会に発展すれば、本人も明るくなってくるというものです。

次に、生涯教育として、埋もれた人材を発掘し、社会へ参加していただく生活塾について説明します。漬物名人、郷土料理名人、園芸名人、炭焼き名人、たこつくり名人、習字、民謡、日本舞踊などなど、バラエティーに富んだ内容で、自ら取得した技術を地域の人々に気軽に伝授するものです。一人一つの講座に参加することで、それまでまったく知らなかった人間同士が、名人も巻き込んで、仲良くなり、そのふれあいの輪を広げることができると思います。そして郷土に育まれてきた生活分化や先人の知恵、工夫とともに、方言は伝授されていかなけらばならない大事な事業であると思います。

次に障害者と老人による作業、即売に付いて説明します。今の社会生活においてものをお大事にするということを認識してもらうとともに、リサイクル活動の中で障害者と老人がともに仕事をし、その自立を達成することを目的とした活動事業です。不要品を回収し作業所において分類、手入れをし販売する。回収にあたっては市民から無料で、販売価格は市価の10分の1くらいで、よい品を安く、ありがとうという気持のふれあいを広げていければいいと思います。その他、園芸としてサツマイモを栽培し、収穫祭に日頃世話になっている人たちを招いて一緒に食べ足り、喫茶店では手作りのクッキーやクレープを出し市民ふれあいの場として活用したいものです。

次にボランティア・センターについて説明します。ボランティア・センターには相談コーナー、ボランティア活動室、研修室、音楽室、録音室、調査研究室、児童図書室、調理室などがあり、ボランティアの研修活動の拠点となります。ボランティアとしては障害者の偏見払拭のためにも、相互教育として誰もが手話、点字ができることが望ましいと思います。そして介護技術を研修し、人材登録をし、在宅ボランティア・サービスを受けたい方がいるときは、何時でも誰かはすぐに派遣できるシステム化とともに、ヘルパー、保健婦、医療機関、民生委員とのネットワークづくりも重要になります。

おもちゃ図書館は障害者を理解し、協力する活動です。布によって立体的に作られた絵本は触ると形が分かり、またボタンやホック、紐を使用しているため、取り外しも自由で、数や歌、お話などにも使えるほか、リハビリにも効果があります。布の絵本は家庭でも作れるし、子育てや被服のアイデアも生かせ、おばあちゃんの知恵をお借りしながらできる活動であると思います。完成した作品は養護学校だけでなく保育所や幼稚園などにも貸し出し、誕生会などで楽しい交流会ができると思います。

次に、ユースアクションについて。青少年の福祉活動の促進を図るユース・アクションも重要性を含んでいます。若いエネルギーを福祉のまちづくりに生かし、そして青少年の自立と連携につなげていきたいと思います。昭和58年、県の高校生ボランティア・スクールが常陸太田市社会福祉協議会が受け皿で行われたことがありますが、参加した高校生がすごくたくましく思われました。それはお年寄りや障害を持つ人々、そして施設に従事する職員との出会いから、これまで自分が体験したことのないさまざまな体験を学びとれたからだろうと思います。人間としていきること、皆とともにいきることからの共感の輪は大きく広がると思います。

つぎに、独居老人の食事サービスについて。現在は月2回ですが、これを毎日にしましょう、学校給食の調理場で作ってもらって配食する方式をとれば、2〜3学級増えた勘定で成立すると思います。各学校単位に小地域福祉の支部社協がありますので、学校からは地域の人が手分けをして配食する。そして地域の人だけでなく、プラスαの応援部隊を作ります。市役所、農協、金融機関、商工会の方々が交代で年1〜2回体験するものです。それはよい行政案、サービス案が副産物となって現れることが期待されます。

ユニークな「福祉王国」憲法第5条にボランティア刑があります。オランダでは軽犯罪の場合、罰金ではなくボランティア刑に処すると新聞の記事にあるのを読みました。演奏家はどこどこの施設で演奏会を開いて楽しませなさい、暴走行為をした青少年は老人ホームや重度障害児施設で何日とかの刑です。単に罰金を払えば罪が消えるものではない。精神面に何かプラスになることを期待してのボランティア刑。常陸太田市でも取り上げ、心のぬくもりのある大岡采配を期待します。

もっと楽しい事業をたくさん考えたのですが、時間の都合で、最後に、「福祉王国」のイベント、「スマイリング・フェスティバル」を説明します。年1回、皆が同じ空の下で、ともに生きる喜びを味わえる、人と接することで得られる心の喜びが「スマイリング・フェスティバル」です。中身は、とにかく楽しく笑い合い、人のぬくもりが感じとれる大風呂敷を各地域ごとに持ってきて広げる。風呂敷が広がったら大きな魔法のじゅうたんになる。さて皆さんは何を風呂敷に包んできますか。

現在、まだまだボランティア活動をする人を特別な人間としてみたり、ボランティア・サービスを受けることに負担を感じたり。さまざまな問題を抱えているボランティア活動は日常化されなければならないと思います。「福祉王国」づくりを通して市民が社会へ参加し、あらゆる分野で活躍し体験してきたふれあいの輪こそふるさとづくり以外の何物でもありません。年を重ねれば誰でも老人になり、障害者になります。いつも春風が吹き渡っているような地域社会づくりを目指し、実現の方向にあることを期待して提言を終わります。ありがとうございました。