「舞鶴の里づくり市民の集い」講演集
〜みんなで考えようわがふるさと〜
日時:平成元年5月20日(土)午後1時
場所:常陸太田市市民交流センター 大ホール
C「人づくり」椎名尚志(増井町)
皆さんこんにちは。
ただいまご紹介にあずかりました椎名と申します。増井町でぶどうを作っております。今日は「ふるさと創生」・まちづくり・「1億円」ということで、人づくりということを絡めて少しお話していきたいと思いますので、皆さんよろしくお願いいたします。
まず、村おこしという言葉をよく耳にすると思いますけれども、私の常陸太田ぶどう組合、常陸太田ぶどう産地は、今考えますとまぎれもなく村おこしであったなと思います。現在100名。これは茨城県ではトップです。北関東においても有数の産地になりました。これは30年たっています。30年前、数名の人たちで、農業で食べていくために、常陸太田で生きていくためにという自らの欲求、要求によって、自らの手で作り上げてきて、現在に至っています。何でここまで伸びてきたかといいうのを考えてみますと、間違いなく、自分たちで考えて行くなかで、その時代時代に必ずリーダーはいました。現在もいます。間違いなく、これからもリーダーは出てきます。ですから、私は自分のぶどう組合はまだまだ伸びていくのではないかと自負しております。
そうしますと、まちづくりについても同じなのではないかと思います。すると、この「1億円まちづくり」を誰が考えるのかなということになるのですが、皆さんご承知の通り、この「1億円」は行政のレベルで国から地方自治体、市町村へ廻ってきたんですが、ここではてなと思うのは、私が考えるに、国でやっても市でやっても、行政がやるのは大して変わりはないのではないか。せっかく1億円おりてきたのだから、もう一歩、われわれ市民の手まで下りてこないものかなと考えます。われわれ市民が自ら考えて、われわれ市民が自ら作り上げていくまちづくりの資金と考えます。太田の一人一人が自分の住んでいるこの太田に愛着を持って、真剣になってふるさとというものを考えていきたいと考えます。そういう意識をこの常陸太田全域に広げていきたいと思います。
こういう話を聞いたことがあるかと思いますが、人間の能力の話です。人間の能力のうち生まれてから死ぬまでの間に使われる能力はごく一部であって、ほとんどが開花せずに終わってしまうという話を聞きました。大変もったいないんではないか。この常陸太田は全国というか、世界でもたった一つしかないわけですよね。でも、実際、その中には、極端に言えば3万7000の能力が埋もれている可能性が実際にあるのではないか。この可能性をいかに引き出していくか。そして引き出した可能性をいかにして太田の活性化につなげていくかということがこれから重要なこと名のではないかと私はつくづく思います。
太田ということをちょっと考えますと、恐らく、今日、今の時間、太田の中心はここなんじゃないか、ここであってほしいと思います。地図を広げます。太田の中心はどこかと考えますと、里川が流れています。あれは常陸太田のちょうど真中を北から南へ流れています。そして太田の本当の中心点をご存知でしょうか。知っている方は知ってるんじゃないかと思うのですが、私は最近はじめて分かりました。白羽町、田渡町、あの辺が太田の中心です。そうしますと、昔から発展してきたこの鯨が丘、この台地は常陸太田の南のはずれでしかないんですよね。そうしますと、里川の東側、国見山の北側も常陸太田なんです。常陸太田に愛着を持っている人がいるわけです。そうしますと、常陸太田を考ええるときに、同じものさしで考えられるはずがないのではないか。それぞれ環境が違う人がまず自分の地域をどうするかを真剣になって考える必要があるのではないか。私個人で考えますと、例えばぶどうをさらに伸ばすためにはどうしようかと一生懸命考える必要があると思います。そしてまた、自分が住んでいる町内をまずどうすればよくすることができるのだろうかということを本当に皆が真剣になって考える。そしてそれぞれの立場から今度は市のほうを見ていく。太田市をどうしていくか、それぞれの関わっている分野から、部分から、太田というものを見つめなおしていきたいと思います。
今は高速道路ができまして、人の流れは間違いなく北に向かっています。今、太田の地形を利用しまして、ゴルフ場がいくつもできています。車の流れ、人の流れは変わりつつあります。そして349号のバイパス、293号のバイパス計画ということで、間違いなく10年先、太田の流れ、形は本当に変わるのではないか。そこで5年先、10年先、さらには20年先、そのときの太田の変化を踏まえて、それぞれの分野から、それぞれの角度から太田というものを見ていかなくてはならないのではないか。そうして、それぞれの分野、例えば農業は商業、商業は工業、それぞれの立場をまず理解しあう、そして交流しあう、そしてわれわれ市民の汗と知恵を結集して、本気になってふるさとを考え直していくことが大事なのではないかと思います。
ちょっと話はそれるのですが、子どものころ、よく遊ぶおもちゃを作りました。例えば竹とんぼ、竹馬など、そういうものを作った記憶があるのですが、今考えますと遊ぶのも面白かったのですけれども、作っている過程も非常に面白かったのではないか。必ずしもよくできるばかりではありませんでした。よくできたときにはできたなりに、また趣向を凝らしまして、さらにいいやつを考えて作ったような気がします。失敗したときには失敗したなりに、また成功するように考えて作ったような気がします。やはり結果も大事なのですが結果よりも作る過程を楽しんでいたような気がします。町づくりも同じなのではないか。あまり結果場から追い求めすぎちゃうと、目先に走っちゃうと、長続きしないのではないか。もう少し長い目で見て、過程を大事にしていきたいなと。そして、それぞれの人たちが太田を真剣になって考えている中で熱気というものが出れば、この太田はしめたものじゃないか。
おしくらまんじゅうというのを小学校のころにやりました。寒い朝、学校へ行って体が動かないとき、元気がないときにやりました。そうすると暑くなってきます。汗が出ます。力が結構でるんですよね。それが一日の力になったような気がします。やはり太田のまちづくりにおいても我々の熱気、いいかえればパワーですね、これを作り出さないことには無理なんじゃないか。このパワーが太田の将来のリーダー、または、太田の明日を作っていくのではないか。
各地区、各立場の人たちが太田を思うという共通意識を持って、それぞれの枠を超えて真剣になって意見を出すこと、そして行政がなかなか言えないことを思い切って発言していく、提言していく事も大事なのではないか。ただ、提言のしっぱなし、聞きっぱなしが一番まずいのではないかと思います。今、県北西部活性化ということで、「グリーンふるさと振興機構」によるさまざまな事業をやっています。また、いろいろな集会、提言をやっているかと思います。現在、太田の中でも県民集会というのがあります。市への提言、県への提言をやっていますけれども、提言のしっぱなしで終わっているのではないか。一生懸命に提言してもなかなか実行にならない。熱がさめちゃうんではないか。
そこで1億円の使い方を考えたいと思います。まちづくり。「1億円」。この1億円を使い切ってしまうためのまちづくりではなくて、本当にまちを作るための1億円にしたいと考えます。確かに多くの人の話題に上がるのは大変喜ばしいことだと思うのですけれども、花火のようなものであってもいけないし、また地域のアイデア競争であってもいけないのではないか。この「1億円」は恐らく最初で最後ではないかと思います。まちづくりにゆっくり時間をかけていきたい。単なる思いつきや行政の都合だけでこの1億円は使ってほしくないという気がします。
実際にどういうふうに使うか。市民会議を設立したい。市民主導型のビジョンづくりをしていきたいと考えます。これは具体的な考えなのですが、例えば市民会議を6年やります。1期2年、3期で1期の1年目にはまちづくりの計画構想を練ってもらう。2年目には自分らで実際に金を動かしてそれを実行しちゃう。そういう資金にしたい。自分は数字に弱いものですから、1億円を単純計算で大雑把に割ったのですが、1期3000万円ぐらいずつ使ってもらう。残り1000万あります。そらはまちづくりフォーラム、まちづくりシンポジウムの開催と市民会議の運営資金に充てていきたいと思います。やはりまちづくりを市民自らの手で計画し、そして市民自らの手で実行していく「1億円」にしたいと思います。ですから、行政の皆さん、ぜひこの1億円を私たちに下さるようにお願いしたいと思います。
最後に、これをきっかけに、この常陸太田市にこれからずっと私も関わっていきますので、ますます愛せるように努力したいと思います。ありがとうございました。