「舞鶴の里づくり市民の集い」講演集
〜みんなで考えようわがふるさと〜
日時:平成元年5月20日(土)午後1時
場所:常陸太田市市民交流センター 大ホール
B「魅力ある街づくりをめざして」安藤雅夫(新宿町)
私は今回意見発表会に参加するにあたり、以前私のお客様から聞いた話を2つほどお話することによってスタートしていきたいと思います。
現在、大学2年生で東京に住んでいます。同時高校2年生だったA君が次のような話をしてくれました。「僕は大森町に住んでいて、高校に入学して初めて常陸太田市の市街地に来たんです。日立のほうが交通の便がいいし、大甕のほうに行けばいろいろ遊ぶところもあって、常陸太田市民という意識がすごくないんですよ。どちらかというと日立市にすんでいたほうがよかったのにな」という意見があったんです。更に続けて、「真弓ケ丘ニュータウンに住んでいる友達も同じようなことを言ってましたよ」という話をしていました。現在常陸太田市で一番人口が増えていると言われている場所でこのような地域において、情報にすごく敏感な高校生あたりからその話を聞いたことで、私はすごくショックを受けました。
もう一人の常連で今年社会人1年生になったB君は、大学時代ですけれども、友達にどこに住んでいるんだと出身地を紹介するとき、こんなに苦労するとは思いませんでしたよ、と言っていました。なぜかと聞くと、有名な場所はありそうなのですけれども、実際に説明するのに手間がかかる。こういう話を聞いて、現在の常陸太田市においてかけている何かを見つけるヒントではないかという考えから、話をしていきたいと思います。
1つは、このようにA君にとって常陸太田市が日立市に負けないほどの魅力のあるまちではなかったのではないかということです。また2つ目、常陸太田市をまだまだ対外的、全国民にアピールしてないのではないかということです。この2つの点から、住みやすく、市民がもっと誇りを持てる地域づくりを考えていくことが重要であると思います。
さて、実際に市民が今回の「ふるさと創生」事業を踏まえて、これからどういうふうにやるべきかを考えると、まずその市の顔を考えたまちづくりをしていかなければならないのではないかと思います。ここでいうまちにおける顔というのはどういうものかといいますと例えば外国を例にとれば、アメリカのニューヨークだと「自由の女神」があり、後は経済やビジネスのまちであるとよくいわれています。また隣のワシントンもホワイトハウスがあって、政治のまちだといわれていると思います。日本のほうを見てみると、京都では古くから寺院とか仏閣が多く、歴史のまちだといわれていますし、新しいところでは千葉県の浦安あたりはディズニーランドができて、全国から皆一度は行ってみたいというか、そういう活気のあるまちになっていると思います。
そのように一言で自分の住んでいるまちを説明できることがひとつ重要ではないかと思います。また、そういうことをすれば、そこから文化というものが生まれてくると思います。そうすれば、人びとは豊かで楽しい生活が可能であるとも思います。文化のないところには人間は決して住まないと思うんです。何で皆さんが東京に行きたいのか。確かに政治とか経済とか、いろいろな面で発展しているとは思いますけれども、考えるに、いろいろな文化に東京では接することができるからだと思います。それをわれわれの住んでいる常陸太田市でもつくれば、またもっと人が集まってくる場所になってくるのではないかと思います。そういうことをやることによってひとつのこれからの太田のビジョンになるのではないかと思います。
ただ、しかし、いくつも顔があってはしょうがないと思うんです。中には森を作ったり、工業をおこしたり、学問をやったり、考えられることは一杯あると思うんですが、そのなかの一つをとることでそのほかを捨てるぐらいの覚悟を持ってやっていくことも重要ではないかと思います。それを選ぶにも一般の市民が参加できる場所を持って、皆で考えるべきだと思います。
では、具体的に、実際にどのような顔が太田に必要でしょうか。長期的または短期的に2つか3つぐらいの事例について考えてみました。私21世紀には日本人の4人に一人が65歳以上の高齢者になるといわれている現在、お年寄りが安心して快適に住めるまちづくり、シルバータウンを目指してはどうかと思います。この「安心して」という感覚は人によってさまざまに違うと思うのですが、家で電話をして、例えば24時間体制で医者が待機しているとか、歩けなければ看護婦さんが巡回するとか、あとは住んでいるまちの水や食べ物がおいしく食べられるようなまちをつくるということだと思います。幸いに、私たちは風土的にも一年中暑くもなく寒くもなく、さらに雪もほとんど降らないという恵まれた場所に住んでいるわけです。
それに増して、もう一つ、全国的にも売り出すキャッチフレーズが常陸太田市にあることを皆さんもう一度考えていただきたいと思います。JRの太田駅が茨城県で唯一の終着駅だといわれていますが、そこから「人生の終着駅、常陸太田市で第2の人生」という具合のアピールをしていったらいいのではないかと思います。古くからJRの常陸太田線の延長問題があって、どちらかというと終着駅のマイナス・イメージがすごく強かったものですが、ここで逆に皆でそれを大々的に宣伝するによって、アピールをする一つの大きな材料にするといいと思います。
さらに、今回、舞鶴の里づくりということで皆さん考えているわけですが、鶴というのは長寿の霊鳥ともいわれている点から、「舞鶴の里」の名称もどこかで結びついているのではないかと考えられます。今のお年寄りというのは決して暗くなんかないと思います。皆さんゲートボールもやっていらっしゃいますし、テニスをやっている方などもたくさんいると思います。彼らはお金があったり、時間があって、元気があると位置付けられますから、当然、若者向けではなくて、シルバー向けを考えた形のテニス場とか室内プールも含めて、リゾート施設があってもよいと思います。さらに、当然、健康増進施設とか、生きがい増進施設なだ、さまざまな福祉施設も必要であると思います。そのような施設を作ることによって、時代を担うわれわれ若者の雇用機会も増えてくるのではないかと思います。
そのようなことで一つ考えていただいて、また短期的に考えるということで、舞鶴の里ということで、鶴に対して徹底的にこだわってみてはどうかだろうかと思います。人工的な施設になると思うのですが、例えば舞鶴城が今の太田小学校のところにありましたが、その城を復元するというか、そういう施設をつくってみるとか、あとは鶴を餌付けする池のような形とか、鶴についての資料館のようなものを作ってみる。そのような施設を中心とした、市民がのんびりできるような憩いの場所としての公園を一つシンボル的に作ってみてはどうかと思います。内容的には、今考えると、自分もそうなんですけれども、家族連れで遊べる場所が常陸太田市にはすごく少ないと思います。現在どこかへ皆で遊びに行くというと、他の市町村、とくに水戸市、那珂町などの施設に行くことが多いと思います。ですから休日ともなるとほとんど人通りがないのが現状ではないかと思います。このような場所を作ることによって、それらの人たちを自分の住んでいるまちに呼び戻すことももちろん、他の市町村から呼ぶことも可能だと思うんです。そうすれば、経済的効果はまた期待できるのではないかと思います。
さらに、もう一つ、自然ということを考えてお話したいと思います。現時の常陸太田市を考えてみると、ほとんどが山林におおわれている場所ですが、唯一の平坦地、開発できるのではないかと言う土地が一つあるのではないかと思います。それは市内を南北に流れている里川の河川敷を公園として整備する形です。そういうことをやってみるといいと思います。山林を崩すのはなかなか大変だと思いますけれども、実際に河川敷を整備するのはほかの市町村でも考えられていますので、できないことはないのではないかと思います。その中でも、南北に伸びている里川を考えると、北は町屋地区とか、常陸太田の金井町とか後は、下流になれば粟原の方までずっと考えていくと思うのですけれども、その各地域に独自性を持った一つの施設を作っていけば、また太田市全体の発展にもなるのではないかと思っています。その統一テーマをやはり作らなくてはならないと思います。そこで、現在花いっぱい事業が全国的に言われていますのでそういうのを一つの大きなテーマとして進めてみたらどうかと思います。
最後に、このような発表の場所をいただきまして、常陸太田市を改めて見つめなおすことができたことを感謝しています。そして、これらのことを完成するためには、当然われわれ若い力が不可欠になってくるのだと思います。そのためにも、毎日の仕事とか生活を通して勉強しあったり、協力していきたいと思っています。さらに、私たち常陸太田市民が20年後、30年後によかったと言う、住みよいまちになることを希望しまして発表を終わりたいと思います。ありがとうございました。