「舞鶴の里づくり市民の集い」講演集

〜みんなで考えようわがふるさと〜

日時:平成元年5月20日()午後1時

場所:常陸太田市市民交流センター 大ホール

 

@「創造的観光開発で太田の活路を…」川又慎(東一町)

皆さんこんにちは。

トップバッターということで多少緊張気味でございますけれども、ある意味では気が楽でございます。といいますのは、前の発言者もおられませんし、モデルがないわけですから何をしゃべってもいいと勝手に解釈をさせていただきまして、多少夢みたいな話になるかと思いますが、その辺は太田の発展を望む気持ちの現われと解釈していただきまして、どうか御容赦をいただきたいと思います。途中でおかしなことがありましたら、御遠慮なく笑って結構です。

常陸太田は茨城県北の要として、経済や文化の中心地として、非常に活気のある町でございますけれども、近年は活気がないとか、あるいはまた発展性がない、また口の悪い人は、すでに死にそうなまちだと言う方もおります。私も、ある意味ではそう言う気持ちを持ちますし、ここにお集まりの皆さんの大半の方が同じような気持ちをもたれるのではないかと思います。のんびりと暮らすにはいいのだけれども、経済的な活気といいますか、人の動きの面でもどうもインパクト、力強さがないという気がします。間近に迫りました21世紀に向けて、このまち、常陸太田をどういうふうに発展させていくか、どういう活気をつけて行くか。その活性化対策は今、非常に緊急で、かつ重要で、最大の課題ではないかと私は思います。

今回梶山さんのアイデアといいますか、竹下さんの置き土産と言いますか。1億円のプレゼントをわれわれはいただくわけでございますけれども、はっきり申し上げて、1億円程度はした金ではこの町、常陸太田の活性化はまず不可能に近いと私は思います。焼け石に水ではないかと思います。先ほどの市長さんのお話に合致する部分もあると思いますけれども、長期的なビジョンもなく、何かちょっとした建物でも建ててそれでおしまいということになりかねないわけですが、そうではないとおっしゃるので非常に心強く思いました。

けれども、それでは非常に困るわけです。線香花火のようにぱっと燃えただけでは地方の活性化はできないと思いますし、特に、活気づくりの面でこれほどまでに深刻な状態になっている太田の活性化は、ぱっと燃えただけではできないと思います。長期の、かなりしっかりしたマスタープランをもって、かなりの大金を投じ、市の行政も本当に本腰を入れて、同時に我々市民も本当に一丸となって、着実に、粘り強く、しかもスピーディーに進めないと、活性化というのはできないと思います。そういうふうにしなければ、この常陸太田は取り残されて、やがて本当に死んだまちといいますか、ゴーストタウンになってしまう怖れがある。そういった意味で、この1億円というお金は太田のこれからの大きな夢への飛躍のスタート地点での起爆剤的なマネー、言葉を変えればビッグ・プロジェクトの最初の段階での投下資金と位置付けて有効活用していくべきと思います。

幸いに、自治省から出向しておられます地方課長さんもいらっしゃってますけれども、この「1億円のふるさと創生」構想というのは、我々地元が一生懸命に粘り強く取り組んで行けば日本政府も積極的な支援をする。数億、数十億、あるいは数百億の事業に将来的に結びついて行く可能性もあるのではないか。またそうしなければ嘘じゃないかと私は思います。

そういう状況認識のもとに、太田の活性化の私自身のプラン、持論を申し上げますと、私は21世紀に向けての太田の活性化は観光の新たな開発だと思います。再開発ではないのです。今までそれほど開発をしておりませんので、新たな開発しかないと私は信じます。つまり、私たちがすでに持っている既存の歴史的観光資源とか自然条件などをフルに活用した上に、ユニークな観光資源、魅力ある観光施設を新たに作り出して、約千数百万人から2000万人が住んでおります東京を中心としたこの首都圏の人々に十分楽しんでいただけるような、首都圏の人々のレジャー欲求を十分満たすような一大観光ゾーンといいますか、そういったものを創造することだと私は思います。

幸い、東京は常磐自動車道の開通で2時間もかからなくなりました。それから、週休2日制の進行、余暇の時代、21世紀に向けたレジャーの時代がこれから進んで行くわけです。先ほどの連休白書を見ましても、海外に出る旅行者も増えたけれども、同時にあまりお金をかけない近場での旅行者、そういうレジャーも非常に増えている。ですから、2000万の首都圏のかなりの方が、お年寄りなどは平日暇ですし、若い方は土曜日曜が休みですから、そういう時に、この常陸太田の町が本当に魅力ある観光ゾーンになれば、訪れてくると思います。

それでは、どうしたらそういう魅力をつけられるかに入っていきたいと思います。非常に幸いなことに、私たちのまちには、日本人だったら誰でも、小さい子どもまで知っている、外国人にも知られている、水戸黄門ゆかりの西山荘があります。この歴史的な運命と言いますか、歴史的な恩恵といいますか、このことに感謝しなくてはならないと思います。全国どこに行っても西山荘をまねすることはできませんし、また頼みもしないのにテレビや映画は無料で黄門さんのいわゆる宣伝をしてくれる。だから市の方でも「西山の里づくり」をやっていることは非常にすばらしいことですけれども、今まで、それほど大々的な対策をしなくても年間30万人ぐらいのお客さんが西山荘に訪れてくれるという現状になっております。ただ、問題なのは西山荘にはきてくれるのだけれども、太田に来てくれるということではないことが非常に残念なわけです。栃木や福島あたりの観光に行く途中でちょっと立ち寄っていく。ここは西山荘だ、静かで良いところだね、ということで終わってしまっているわけです。ですから目的地観光ではなくて、いわゆる通過観光地になっているという現状であります。

なぜかといいますと、西山荘を見学した後、この常陸太田で家族連れや団体の方、おじいさんおばあさん、若いアベックなどが楽しみ遊ぶレジャーの施設がないから、太田に来ているということじゃないということですね。ですから、観光基地としてのバラエティーにあふれる魅力がこのまちにはないわけです。ですからそういう意味で、私は、この常陸太田には観光客のレジャー欲求を十分に満たす、それに耐えられる大掛かりな、超目玉の観光資源を新たに建設すべきであると提言したいわけです。

例えば、どういう施設になるか。私のぼんくら頭で考えれば、太田市内の山林でいいですね。特に西山荘ん近くがいいと思いますけれども、そういうところの巨大な数ヘクタール、あるいは数十ヘクタールくらいの敷地を使いまして、ディズニーランドのような遊ぶ施設、太田型のレジャーランドを作るべきだと思います。その敷地内には、全国どこのレジャーランドにもあるようなもの、たとえば人造湖とか遊園地、動物園、植物園、乗馬クラブとか小鳥の森とか、そういうものももちろん必要だと思います。ただ、それだけでは足りない。併せて必要なのは太田ならではの特色を生かすもの。やはり黄門さんに関するもの。例えば水戸黄門の、悪人どもをやっつけるあのドラマはすたれないドラマですね。絶対すたれないし、視聴率も高いですね、途中で休んだりまた始まったりしますけれども、いつでも相当の視聴率を保っております。また、映画も成功しているそうです。その水戸黄門のドラマを生で見られるような、「水戸黄門劇場」といいますか、そういうものをその施設の中には入れるべきである、ひとつの目玉としてですね。西山荘のすぐ脇で生のドラマが見られることになると、ある程度話題性があると私は思います。

幸い、映画会社は斜陽で、芸人の方も暇だそうでございます。ですから芸人の調達は十分可能であると思います。もちろん徳川さんの前には佐竹さんの時代が500年近く四百数十年ありました。ですから、例えば歴史資料館とかいろいろあると思いますけれども、そういう佐竹氏に関する施設ももちろん作るべきだと思います。

観光地には目玉はいくつあってもいいわけでございまして、もうひとつ目玉を申し上げますと、西山公園から鯨ケ岡の高台を結ぶいわゆる夢の日本一のつり橋ですね。そこを観光客に渡らせる。技術的にはこれは十分可能だとおもいますし、安全策を施せると思います。西山一帯で観光を楽しんだ後、観光客がつり橋を渡って高台に上がってくれば、高台の商店街も活性化に向けて動き出すはずです。その場合、高台の商店街の活性化はどうするかということになりますと、倉敷型とか小京都型といいますか、シックで落ち着いたイメージでショッピングが楽しめるような店づくり、品揃えという展開になると思います。

それから、もうひとつ、鯨ケ岡の斜面には日本一おいしい涌き水が湧いております。いわゆる金井、下井などの太田七井ですね。水と言えばお茶です。都会から訪れた観光客が一服のお茶で憩うといいますか、ほっとくつろげる茶室も太田七井を利用して作ったならば面白いと思います。

また、太田は山吹の里。鯨ケ岡全体が、大地そのものが季節の花、山吹などで統一的な花で覆われる。それも四季折々。冬に咲く花はあるのかどうか判りませんけれども、そういう四季折々に咲く花で覆われる花いっぱい運動などもこれから必要になってくると思います。

このほかたくさんアイデアがあります。その他のアイデアとして2〜3あげますと、里川を利用するか、レジャーランドの敷地内を利用するかはともかくとして、蛍の里づくり。それからハングライダーというスポーツが非常に今若者に人気がございます。これを国見山の山頂から東田んぼあたりにおりる基地を作る。国見山は290メートルあるのですけれども、私が調べたところによりますと、大体初級から中級向けの面白い基地ができそうだと、ハングの連盟の方は言っています。

それから、太田の歴史にはかつて紅花の栽培がありました。漢方薬の薬用植物園なども面白いと思います。そのほか,ブドウ、梨の太田の果樹、特産物を観光農業として再開発する問題。それから、ダラダラ祭りと言われる太田のヨマチ(夜祭)から、フィナーレとしての太田まつりへつなぐ祭りの再編成、これを発展させる問題も必要になってくると思います。

このほかに常陸太田地区と久慈地区を結ぶ、都会の観光客がドライブを楽しむアルプスライン。これも水府村に武生林道というのがあるのですけれども、これを利用して奥久慈につないでいくと、非常に景観のすばらしいものがありますね。西側に那須連峰から東北地方の山脈が本当に見えます。私も一回通りましたけれども、そういうものを利用してドライブウェー、山の稜線街道を作ることが考えられます。これは別の機会にしたいと思います。

思いつくままに、るる夢のアイデアを申し述べてきましたけれども、21世紀に向けて常陸太田の観光の新開発をどうするかについてひとつ提案をしたいと思います。まず何よりも先の問題は、市の行政機構の中に観光開発部を作ることだと思います。市民向けの対策に終始しがちな現在の商工観光課では、30万人の観光客を300万人に増やすことはできないと思います。課を部に昇格させて、本腰を入れて、観光による太田の活性化を目指していただきたいと思います。これを強く要望したいと思います。

北海道の富良野は何の特色もないのに、北海道の中心ということで「へその町」として、観光都市として新たな創造をしております。太田にはすでに西山荘がありますので、本格的に本気で取り組めば、必ず新たな飛躍が生まれると私は信じます。行政と併せて必要なことは、われわれ市民の側の観光の太田を作るための市民運動も必要だと思います。今日はたくさんの団体、組織からお集まりでございますけれども、フレッシュ太田の観光再開発をメーンテーマにした団体組織、横断的な市民総ぐるみの創造的観光開発市民会議などの市民活動の発足も必要かと思います。

せっかくの「1億円」をきっかけにして、我がまち常陸太田に観光開発による活性化の機運が大いに盛り上がってほしいということを祈念いたしまして、私の発表にかえます。ありがとうございました。